古いカセットテープから声が流れます。
「おばあちゃんはね、北海道で生まれたの。おばあちゃんのおとうさんは校長先生だったもんで、わたしも先生になったの。お給料は30円だったよ。」

おばあちゃんの語り口。やさしい声。少し残っている北海道なまり。横から聞こえてくるお嫁さんたちの笑い声。あの日、おばあちゃんを囲んだ家族の情景がよみがえってきました。
孫から見えていたおばあちゃんはおだやかで料理や読書が好きな女性でした。ところが、話を聞いてみると全く別人のような人生がそこにはあったのです。
生い立ちやおじいちゃんとの出会い。マイナス38度の樺太での新婚生活。
毎朝台所の水がめの水が凍っていたこと。
凍った川面をまさかりで割って、天秤棒で飲み水を運んだこと。おじいちゃんが戦争へ行き、必死に7人の子供を育てたこと。麹を使った漬物は、今のように年中野菜が食べられるわけではなかった北海道生活の知恵がしみこんだ味だったこと。
知らなかったことだらけの話に私は引き込まれました。
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